答えの出ない安全対策

エッセイ

言うが易し

「安全第一」、「安全最優先」、「自分の身は自分で守る」

工場勤務の方なら誰でも目にしたことのある標語ではないでしょうか。

「安全第一」、企業側が押し付けてくるこの言葉ほどいい加減なものはないと、常々思っています。

どうしても、安全担当の現場に出ない人間が、「安全第一」を声高に主張する事が多く、現場で働いている人間からすると的はずれに感じてしまう部分があり、”なら、自分でやってみろ”のような反発に繋がります。

誰でも絶対に怪我なんてしたくはありません。

でも、実際に作業中の事故による怪我は無くなりません。時には、死亡事故も発生してしまいます。

「安全最優先」、危険が伴うのであれば作業中断し、「安全」を最優先してください。
現場の作業者の「安全」を考えた良い言葉です。

作業を中断した経緯、本当に中断した判断が正しかったのか、中断による損失、少なからず事情聴取が行われます。作業を中断するということは、職種によっては一瞬の判断が必要な場合もあります。この一瞬の判断が正しいかったのかどうかを後から詮索される事が、どれほどの苦痛か、「安全最優先」を高らかに叫ぶ現場にいない安全担当には、決してわかりません。

2019年10月12日、猛烈な台風が近付いてきています。このような日でも出勤しなければなりません。

上司は言います。「台風が近付いています。十分に気をつけて下さい。」と、十分に気をつけるならば、会社には来れないのですが。

私の勤務する工場は、三交代制勤務で私が仕事を休むと、私の前に働いている人が、まるまる私の勤務時間を残業することになります。

過去の台風時、暴風雨が荒れ狂う中、夜勤に出勤しなければならない時があり、工場が冠水し、膝上まで水位がある状態でした。

「安全第一」、「安全最優先」、「自分の身は自分で守る」からいえば、決して出勤などできない状況です。

では、会社を休めるのでしょうか?

暴風雨が荒れ狂い、膝上まで冠水した状態の中で、必死に対応に追われている人間に、休むから残業お願いしますと言えるでしょうか?

人のことを考える気持ち、仕事への責任感を考えた時、「安全最優先」は、どうするべきなのか、明確な答えは誰ももっていません。

安全を守るには

では、どうすれば「安全」を守れるのか?

「自分の身は自分で守る」しかないのです。しかも、人のことを考えながら、仕事への責任も考えながら、そう、現場に出ない人間が高らかに言っていることを守るしかないのです。

現場に出ない人間の言うことは綺麗事で、虫酸が走りますが、「安全」を確保するためには、現場で働く人間自身が、現場に出ない人間の言うこと、「安全第一」、「安全最優先」、「自分の身は自分で守る」を意識して「安全」を意識して、作業するしかないのです。

現場に出ない人間に言われたくない、現場に出ない人間は黙ってろという意見もあり、実際にみんな心の中で思っています。

しかし、現場で働く人間は、「安全第一」ではなく「仕事第一」になりがちなのです。仕事への責任感もありますが、「安全」を優先させた結果、非常にめんどうなことになり、作業が増えてしまう場合もあるからです。

なので、第三者、現場に出ない人間の言うことが大切になってくるのです。

どんなに疎まれようが、どんなに嫌われようが、声高に「安全」を呼びかける担当が会社には必要なのです。

そして、現場に出ない上司たちは、現場の人間が怪我をすると自分の責任問題にもなります。

上司たちの気持ちを考えると尚更、怪我をすることはできません。

つまり一人一人の「安全」に対する、

「意識」

しか、安全確保の方法はないのです。

「安全」は、この私の文章のように答えもなければゴールもないのです。

「ご安全に」

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